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『日曜版』 漢字で表す、愛する我が社のスタッフ達!(爆) [パロディ]

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① 愛欲=あり過ぎ
② 意欲=なさ過ぎ
③ 性欲=かたまり
④ 食欲=無制限
⑤ 貪欲=仕事を増やすな給料増やせ
⑥ 禁欲=出来る人を連れて来い
⑦ 私欲=まみれ
⑧ 情欲=ち◯ち◯カット
⑨ 無欲=居るのか?
⑩ 我欲=底無し

① 危機感=あれば奇跡
② 期待感=持てば最悪
③ 距離感=頼るな!
④ 共生感=怖いものなし
⑤ 生活感=もろだし
⑥ 現実感=ほぼ無し
⑦ 空腹感=1日7食
⑧ 罪悪感=懺悔一発罪解消
⑨ 責任感=無い物ねだり
⑩ 使命感=仕事以外で発揮

① 影響力=出来の悪い奴ほど大きい
② 機動力=昼飯時と帰宅時のみ
③ 記憶力=猫並み
④ 決断力=仕事以外
⑤ 結束力=会社に不満がある時
⑥ 持久力=あれば今頃は海外に・・・
⑦ 合成力=合体力の間違いでは???
⑧ 実行力=部下に先ずやらせる
⑨ 想像力=自分の能力を過信
⑩ 神通力=遅刻の言い訳

① 青色吐息=給料日前に自然に起きる現象
② 悪戦苦闘=ごく簡単な仕事を与えると起こる
③ 悪事千里=チスミス千里を走るとも言う
④ 阿鼻叫喚=この国の普通の夫婦喧嘩
⑤ 以心伝心=有った試しが無い
⑥ 一汁一菜=自分の金で飯を頼む時
⑦ 一念発起=給料倍にしたらあるかもね

⑧ 一目瞭然=仕事の成果
⑨ 一蓮托生=私の境地
⑩ 一喜一憂=毎度のこと
⑪ 一騎当千=一度で良いから拝みたいわ
⑫ 因果応報=この星ではカルマと言う
⑬ 烏合之衆=ぶわははははははははは・・
⑭ 海千山千=社員募集したら沢山来る
⑮ 有耶無耶=得意技
⑯ 雲泥之差=海外流出組と国内居残り組
⑰ 円満解決=金次第
⑱ 頑固一徹=頭固い人ばっかり
⑲ 加持祈祷=仕事をせずに、給料貰えますように・・・
⑳ 奇想天外=こんな人だらけ

㉑ 行儀作法=教えるだけ無駄
㉒ 共存共栄=日本人は交ぜて貰えない
㉓ 驚天動地=たまにまともな事を言うんだよね
㉔ 漁夫之利=これ狙いが多い
㉕ 義理人情=あってたまるか
㉖ 謹厳実直=この星には存在しない死語
㉗ 苦肉之策=日本人には絶対思い浮かばない策
㉘ 厚顔無恥=説明要りますか?
㉙ 公私混同=トイレットペーパー持って帰るな!
㉚ 荒唐無稽=こんな楽しい国は他に有りませんぜ!


*これは、愚痴では有りません!(笑)
  以前、FBにUPしたものを、改訂、追加しました。
  有り過ぎて書けないから、続きは又今度!(爆)
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マニラKTV悲話 その㉞ バタンガス2 [小説]

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(今日は、何も収穫が無かったな・・・)
優二は、ホテルのレストランで食事をしながらそう思ったが、流石に落胆せざるを得ない。
見かねたのか、前の席に座っていたジェシーが、慰めるようにしてこう言う。
『大丈夫よ優二さん、まだ明日があるから、明日は朝早くから市場に行きましょう、 若しか
したら、彼女が、買い物にでも来るかもしれないから・・・』

優二は、それを聞くと、少しだけ勇気が湧いてきた。
まだまだ、これくらいで諦めるわけにはいかないのだ。
ここでへこたれるようでは、ジュリアを取り戻すことは、一生掛かっても出来ないであろう。
(そうだ、今日はもう寝よう、そして、明日は早起きして、市場に行って張り込もう・・・)
優二は、心にそう誓った。

そう誓った優二だが、次の日の朝になっても、ジュリアを見つけることは出来なかった。
何しろ、市場そのものが広過ぎるのだ。
しかも、ジェシーは、ジュリアの写真だけが頼りだから、あまり当てにはならなかった。
折角、洗濯屋さんが、友達に頼んでここまで聞き出してくれたが、これが限度で有ったろう。
カレンに巧みに聞き出したのであろうが、詳しい住所まで聞くとなると、その理由が難しい。

如何にアバウトな国とはいえ、たったそれだけの情報では、やはり不可能と言えた。
市場の客は、午前中早い時間と、夕方前が混雑の時間である。
昼前になっても、やはりジュリアが顔を見せることは無かった。
いや、本当はここに来たのかも知れないが、出会う機会が無かっただけかも知れない。
兎に角、腹も減ってきた。

優二は、市場内である食堂で飯を食おうとジェシーに相談した。
が、彼はあからさまにそれに反対した。
そんな所で食べれば、慣れない優二は、必ず腹を壊すというのである。
数多くの日本人観光客を相手にしてきたジェシーだけに、この言葉に優二は逆らえない。
ジェシーの提案で、午後から再び市場に戻ることにして、昼飯はモールで摂ることにした。

そのモールで、日本食もどきのレストランに行った二人だが、注文した料理の、あまりの不
味さに、驚いた優二達である。
これでは、市場の中の食堂のほうが、遥かにましかも知れない。
そう考えただけで、優二は、本当にお腹が痛くなってきた。
精神的なものか、食べたものが本当に当たったのか、急に腹が下って来たのだ。

優二は、ジェシーに断り、トイレに行くことにした。
トイレだが、右側のドアが男性用で、左側のドアが女性用であった。
が、男性用の大便室が、全部塞がっている。
4つある中で、3つまでが修理中となっており、1つしか、利用が可能ではなかったのだ。
そこに、既に5人ほどが列んでいる。

優二は、今迄に経験した事のない位の腹の痛みに、マジで気が狂いそうになった。
腸も、ごろごろと大きな音を立てて鳴っている。
(は、早く、違うトイレを探さないと・・・)
気は焦ったものの、果たして違うトイレに辿り着くまでに、この腹が持つのであろうか?
優二は、冷や汗をたらたら流しながら、そこを出ると、違うトイレを探しに出掛けた。

やっとの思いで、違うトイレを見付けた丁度その時、優二は、偶然そこの女性用トイレに入
って行くジュリアを見掛けたのである。
『ジュ、ジュリア~』
彼は、必死で声を振り絞って、声を掛けた、その時で有った。
ブリブリブリ~~~

優二に、肉体的崩壊と精神的崩壊が、一度に訪れたのである。
そこに、崩れるようにして倒れる優二。
排泄はしたものの、更に激しい腹痛が、優二を襲っていた。
これは、只の食中毒では無いようだ。
周りから、わらわら人が寄ってきたが、その中で、優二は気を失い掛けていたのである。


続く・・・


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マニラKTV悲話 その㉝ バタンガス [小説]

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ジュリアの親戚の家というのは、死んだ父親の姉の家であるらしい。
それは、バタンガスという港と市場の中間近くにあると言うことだ。
元々、彼女達の田舎はパンガシナンであった。
そこまで帰るには、時間も金も掛かるし、何よりも作者が困る。
大体、そこに行ったこともない。

『知らぬは書けぬ』、ということで、無理やり、設定を親戚の家にした作者である。
これなら、何度も行っているから書けるであろう。
という作者の勝手な都合で、優二は、洗濯屋さんのアドバイスも有り、ジュリアを探しにバタンガス
に向かうことになった。
彼は、岩崎に頼み込み、たった2日間だけの休暇を貰った。

これを吉本なんぞに頼むと、『あほか?』と一蹴されるに違いない。
着任早々の休暇など、常識知らずと言われても仕方が無かろう。
その点、岩崎は寛容である。
まあ、今後も優二を便利に使いたいという思惑も有り、恩を売っておくのは、悪く無いと考えたのかも
知れない。

休暇の件は、彼が快諾した。
優二は、洗濯屋さんに頼み込み、レンタカーを探して貰った。
こういうことは、会社の小牧に頼めば良かったのかも知れないが、彼に何もかも知られてしまうのは、
如何にもまずい。
そういう訳で、優二は、洗濯屋さんが手配してくれたレンタカーに乗り、一路バタンガスへと向かった。

バタンガスの港へは、マニラから2時間弱である。
昔は、3時間以上は掛かったが、高速道路が出来たので、今では大幅に短縮された。
洗濯屋さんから聞いた住所は、実はそんなに詳しくはない。
港と市場に近いというだけで、番地や通りの名前などは聞けていない。
それだけで、ジュリアを探しに行くというのは、雲をつかむような話であろう。

しかし、優二は、座して待つというわけにはいかなかった。
やはり、彼にとって一番大切なのは、ジュリアなのである。
彼女を、このまま失いたくない思いで、カレンから近づくなと言う約束までを、反故にしようとしている
優二であった。
(何が何でも、彼女を自分の手に取り戻す!)

彼の決心は、ここに来て、ようやく固まったようだ。
これも、洗濯屋さんの、心強い言葉のお陰で有る。
優二は、心勇んで、バタンガスに、向かっていた。
洗濯屋さんが手配してくれたレンタカーの運転手は、ジェシーと言う。
ジェシーは、以前日系のレンタカー会社に勤務していたらしく、多少の日本語が理解が出来た。

今は、独立して、自分の車をローンで買い、自分でお客を取っている、いわばフリーの白タク屋だ。
洗濯屋さんとは、以前の会社の時からの付き合いらしく、相当信頼されているらしい。
『この男は、中々機転が利くし、役に立つと思うよ。』
優二が、そのレンタカーに乗り込む前に、洗濯屋さんがそう言った。
そういう、洗濯屋さんイチ押しのジェシーであったから、優二には心強く感じられた。

そうしてたジェシーと優二であったが、バタンガス港に着くと、その近所から当たって見ることにした。
が、これは、無謀であろう。
マニラとは違い、人口は少ないものの、それでも、相当数の人間がここで暮らしているのだ。
半日をほぼ棒に振った彼らは、途方に暮れていた。
仕方なく、暗くなってきたことも有り、彼らは、港近くのホテルに宿をとることにしたのである。


続く・・・
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マニラKTV悲話 その㉜ 洗濯屋さん [小説]

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こうして、その日も終わったが、次の日は日曜日で、優二は休日である。
思えば、激動の一週間であった。
暗黒喫茶から始まり、ジュリアに浮気がばれて、彼女を失った。
その後、岩崎の着任が有り、優二は私生活でも振り回されている。
このところ、彼にとって、気の休まる日々は、無かったと言っていい。

(この辺で、心の洗濯でもしなければ、死んでしまうかもな・・・)
優二は、そう思った途端、実際に自分の下着などの洗濯物が溜まっていたのを思い出し、彼は、行
きつけのランドリーの店に行くことにした。
この店は、日本人が経営していると聞いていたが、彼はまだ、一度もその経営者を見たことがない。
ところがである。

彼がその店に行くと、丁度その経営者らしき日本人が、受付に座っていた。
『ああ、いらっしゃい。』
その経営者らしき人物は、優二の顔を見ると、日本人だと察したのか、日本語で声を掛けてきた。
『あれ、もしかして、ここの経営者の方ですか?』
挨拶を返しながら、優二はそう尋ねる。

『ええ、そうなんですよ、Kenと云います、宜しくどうぞ。』
『Kenさんですか、僕は優二と云います、宜しくお願いします。』
優二は、思わず嬉しくなってそう言った。
何せ、会社と 『太虎』以外では、久しぶりに会う日本人だ。
優二は、思わず話し込んで仕舞った。

Kenが言うには、今日は、従業員二人が急に休んだらしく、オーナー自らが店番をしているそうだ。
彼も余程暇だったのか、優二にお茶まで出して、歓迎してくれた。
『ふ~む、ああ、なるほど・・・』
洗濯屋さんは、年の功で、中々の聞き上手である。
優二は、ついつい語ってしまったようだ。

『ムムム、ううん・・・』
Kenは、優二の話で、全てを覚ってしまった。
『そなたの悩みは、全てこの洗濯屋が承った・・・!』
変に、時代劇掛かった様な口調で、洗濯屋さんはそう言う。
『私に、いいアイデアがあるぞよ・・・』

『本当ですか?』
地獄に仏とは、こう云うことであろう。
暗闇に閉ざされていた優二の心に、その瞬間、少しだけ灯りがともった。
『で、そのアイデアとは・・・?』
優二は、せっつくように、洗濯屋さんにそう問う。

『いやあ、本当のことを言うと、アイデアというものでもないよ、俺は、あの店のグループの女マネ
ージャーを知っている、その人に、そのジュリアのことを聞いてあげようかと思ったのさ。』
『マジですか?、いやあ、助かります、是非お願いします。』
優二は、深々と、洗濯屋さんに頭を下げた。
『その代わり、この店をいつもご贔屓にね!』

洗濯屋さんは、ちゃっかりと、自分の店の宣伝も忘れない。
彼は、急に目を輝かせながら、洗濯屋さんに感謝して店を出た。
それから二日後のこと、洗濯屋さんから、優二に連絡が来た。
『ああ、やって来たね・・・』
『はい、何かわかりましたか?』

『うん、少しだけだけど、分かったことがある。』
『はい・・・』
『彼女は店を辞めたらしい、今は親戚の家にいるそうだ、何でも姉のカレンがそう決めたとか・・』
『はあ、そうでしたか・・・、何だかそんな気もしていました、では、もう諦めるしか無いですねえ・・・』
優二は、急に肩をがっくりと落としながら、そう言った。

『何を言ってるんだ君は・・・』
落ち込んでいる優二に向かって、洗濯屋さんは、声を荒げながらこう言う。
『君は、そのジュリアを本当に愛しているんだろう?、だったら、迷う必要は無いではないか?、さあ、
粗方の居所くらいは聞いてある、君は今直ぐ、彼女を探しに行き給え。』
洗濯屋さんの熱い言葉に、優二は思わず、『はい』と返事をした。


続く・・・
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マニラKTV悲話 その㉛ 失意の日々・・・ [小説]

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それからの優二は、流石に失意の日々を送るほかは無かった。
ジュリアに電話しても、電話番号でも変えられたのか、連絡が一切付かない。
それでも、優二には、店に行く勇気も持てなかった。
何よりも、姉のカレンが怖い。
しかも、彼女からは、二度とジュリアの前に顔を見せるなと、強く念を押されていた。

悶々としながらも、優二は仕事を続けなくてはならない。
そういう折、間の悪いことに、部長の岩崎までが、とうとう赴任してきてしまった。
当然、優二と同じコンドである。
岩崎は、優二の憂鬱などはお構いなしに、あれこれと、彼に自分の身の回りの世話までさせた。
まあ、言葉のあまり出来ない岩崎は、優二を便利に使いたかったのだ。

(とほほ、まるで地獄だよ・・・)
と、優二はそう嘆いたが、
(これも自業自得なのだ・・・)
そう思って、諦めるしか無かった。
(しかし、あれから、ジュリアはどうしたのであろう・・・)

病院を3日程で退院したのは、病院に行っから確認できた。
何せ、支払いをしたのは優二だから、病院側も簡単に教えて呉れたのだ。
但し、その後の事が分からない。
優二は、思い切って、『太虎』の大橋にでも相談しようと考えた。
善は急げで、思い立ったその日の仕事明けに、彼は『太虎』へと向かった。

『お、随分久しぶりだな、元気にしてたの?』
優二が店に入った瞬間、大橋がそれを見て直ぐに彼に尋ねる。
『はい、お陰様で・・・』
『彼女は元気なの?、最近連れてこないな・・・』
『・・・・・・・』

優二は以前、同伴の3回に一度は、ジュリアを『太虎』に連れてきていた。
U店の系列店の、『大和橋亭』ばかりでは、食い物に、飽きてしまっていたからである。
『返事がないところを見ると、別れたのか?』
大橋は、事情を全く知らないものだから、容赦なくそう問う。
『い、いいえ、あ、あのう実は・・・』

優二は、恥ずかしながら、大橋に、何もかも打ち明けた。
しかし、大橋の意見は、優二が思ったより、ずっと冷たかった。
『そりゃあな、バレたのはあんたが悪い、でもな、女なんか星の数だけ腐るほど居るんだよ、まあ、
諦めるこった、又新しいのを作ればいいんだよ。』
優二が、呆れるほど、素っ気ない大橋の言葉である。

大橋は、純情一途の優二と違い、幾度ともなくピーナとの修羅場をくぐった、強者(つわもの)だ。
彼には彼なりの、人生観や女性観が有る
ひよっこである優二の悩み話など、大橋にとっては、退屈な極(きわ)みで有ったろう。
あっさりと躱された優二は、話を南原の消息に変えてみた。
南原の都合さえ良ければ、ジュリアの消息を探りに、U店に行って貰おうかと考えたのである。

『ああ、あいつならもう居ねえよ、ここを、もう出入り禁止にしたから・・・』
この返事も、優二には意外だった。
理由を聞いてみたが、大橋は、笑うばかりで取り合わない。
優二は、取り付く島もないという格好で、『太虎』を出るしか無かった。
そうして、U店の前を通り掛かったが、カレンに出会うのが怖くて、彼は急ぎ足でそこを通り過ぎる。

その後、ビラ撒きがしつこく優二に付き纏うのを振り払い、彼は、ようやくタクシーに乗った。
『太虎』の前で乗れば良かったのであろうが、やはり、本当はU店の前も通りたかったのだ。
カレンを恐れているにしろ、若しかしたら、ジュリアにも会えるかもしれないという期待が、優二の心
の底に、無かったとは言えない。
しかし、その期待は虚しかったのである。


続く。。。
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マニラKTV悲話 その㉚ 破局 [小説]

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(げええ・・・・・・・)
優二は、心の底から驚いた。
正直、ジュリアが、そこまでするとは、考えても見なかった彼である。
カレンの表情は、更に厳しさを増すばかりだが、優二は、取り敢えず事情を訊かなくてはならない。
懇願に懇願を重ねた結果、やっとのことで、カレンは口を開いた。

カレンの話によると、ジュリアは自分達のアパートに帰ると、ベッドに入り込んで、シーツを頭から被
ったまま、泣きじゃくり始めたらしい。
カレンが、幾ら彼女を問い詰めても、泣くばかりで、ジュリアは何も答えようとしない。
妹に、何か有ったのだろうとは察したが、ジュリアは非番でもカレンには仕事があったので、彼女は、
ジュリアを暫く放って置いて、自分はシャワーをすることにした。

カレンがシャワーを終えると、ジュリアがカレンのアレルギーの薬瓶を握りしめたまま、ベッドに仰向
けに倒れている。
驚いたカレンは、ジュリアを抱き起こしたが、既に意識が朦朧としていた。
薬瓶の中身は、自分の持病の薬で、日本人の彼氏に特別に送って貰った、抗ヒスタミン剤である。
こんなものでも、大量に飲めば、命の危険に関わるものだ。

カレンは、急いで車を手配し、ジュリアを病院に運び込んだ。
病院に到着すると、医師は胃の洗浄を直ぐに行ったが、ジュリアの意識は消えたままだった。
その上で、カレンは優二を呼んだのである。
カレンは、この件について、優二が何らかの事情を知っていると、確信していた。
女が、真意はどうであれ、兎も角も自殺を図ったのだ。

原因は、男に決まっている。
となれば、原因は優二以外には思い付かない。
カレンに取っては、可愛い妹の一大事である。
カレンの、凄まじい追求が始まった。
これに、いつまでも耐え切れる優二ではない。

彼は、観念して、カレンに、正直に全てを打ち明けた。
優二からすべてを聞いたカレンは、深い溜息を付いている。
(だから、言わぬことではないのだ、自分が妹のことを守りたかったのは、ここにある・・・)
カレンは、妹を守りきれなかった責めを、優二によりも、自分に対して持っていた。

カレンは、それ以上、優二を責めなかったが、最後にこう言った。
『話は全部わかったわ、もういいからあなたは帰って頂戴、そしてもう2度と妹に近づかないで!』
『・・・・・・』
『今度近付いたら、私はその時こそ、貴方を許さないわよ!』
カレンは、そう脅すと、優二の背中を押し、彼を部屋の外に追い出したのである。

優二は、カレンに対し、取り付く島も、為す術(すべ)も無かった。
彼は、がっくりと肩を落としながら、愛する人の病室を出て行った。
そうして、せめて病院の支払いをと思い、病院の事務室を訪れた優二である。
その中で、医者とも話をし、ジュリアの様子を聞いた。

まあ、様子を見ながらだが、多分、3日も入院すれば、元通りになるであろうという診断である。
優二は、3日分の入院費も含め、10万ペソのデポジットもカードで入れた。
返金があれば、彼女達に渡して欲しい・・・
彼は、そう言い残し、病院を出た。
帰り際、優二はジュリアの病室の方へ目を向け、ふ~と深い溜息をついた。

これで、完全にジュリアを失ったのだ。
思えば、とんでも無い事をしてしまったものである。
(あの時、太虎にさえ行かなければ・・・)
とも悔やんだが、やはり自業自得なのだと、思い定めた優二である。
興味本位で付いて行ったものの、別に、アンナを買わなければ済んだ話だからだ。


優二は、この悩みを大橋にでも聞いて貰おうかとも思ったが、自らを恥じてそれは止めにした。
(こんな、無様な自分を、人に見せられる筈がない。)
そう思い直し、大人しく、コンドへ帰ることにした優二である。
彼は、晩飯も食わずに、タクシーに乗り込んだ。
月明かりが、妙に眩しく感じる夜であった・・・


続く・・・
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マニラKTV悲話 その㉙ 自殺未遂・・・ [小説]

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部屋の中に入って行った優二は、そこに居たジュリアを発見した。
泣きながら、コンドームの数を数えていた彼女をである。
『ど、どうしたのジュリア・・・』
異様な雰囲気に、一気に包まれた優二は、辛うじてそれだけを言った。
『それを、聞きたいの・・・?』

地獄の底から出てくるような低い声で、ジュリアが優二にそう尋ねる・・・
彼は、その恐ろしい声にどぎまぎしながらも、こう聞かなければならい。
『な、何で、コンドームなんか数えてるんだ・・・?』
恐る恐る聞いたが、ジュリアの表情は、益々鬼のような様相になり、優二をキッと睨みつけた。
『私、知っているのよ・・・』

ジュリアが、更に恐ろしさを増した声で言う。
『・・・・・・・』
『あなた、私の他に女を連れ込んだわね・・・』
『うっ・・・?』
『しらばっくれても無駄よ、隣に住んでいる人に聞いたんだから・・・』

『そ、それは・・・』
優二は、何とか言い訳しようとしたが、急場で言葉にならない。
『コンドームが、5個足りないわね・・・』
『ああ・・・・・』
優二は、その言葉で、全てを察した。

(こいつは、全てを知っている・・・)
そう思ったが、全てが後の祭だ。
それからは、当然のように修羅場であった。
その辺の物を、ひっくり返すようにして、ジュリアがありとあらゆるものを、優二に投げつけた。
必死で、それを耐える優二・・・

しかし、一旦火のついた状態のジュリアの怒りは、そんなもので納まる気配はない。
いくら、優二が宥めても、ジュリアはキチガイのようになって、優二の頬を打ち続ける。
何せ、自分の処女を奪った愛しい男が、そんなに日も経たない内に、自分を裏切ったのだ。
ジュリアは、本当に優二を、心から愛していたのである。
あの、厳しいけど本当は優しい姉を、裏切ってまで・・・

暫くの間、ジュリアは優二を打ち続けていたが、、その内、泣きながら部屋を出て行った。
優二は、追い掛けようとしたが、修羅場を外に持ち出しそうな気がして、行くのをやめて仕舞った。
(どうせ追い掛けても、直ぐに仲直り出来るわけが無い・・・)
自分の中で、優二はそう言い訳をしていた。
優二が、ここで追い掛けていれば、後の事態は、防げたのかも知れないのにだ。

だが、彼はそれを怠った。
ジュリアのことよりも、体裁(ていさい)の方を優先させたからである。
その夜、突然、優二にカレンから電話が来た。
電話の向こうで、カレンは慌てている様子である。
『兎に角、今直ぐ来て頂戴、病院の名前は◯◯◯・・・』

あまり聞き取れなかったが、カレンの話では、ジュリアが病院に運ばれたらしい。
理由は、現在(いま)のカレンも知らないという。
優二は驚いて、その病院に向かうべく、急いで部屋を出た。
丁度その時、隣に住むエミリーを見掛けたが、今はそれどころではない。
優二は、タクシーを飛ばして、病院へ向かった。

病院に到着し、病室へ入ると、カレンが心配そうにジュリアの寝顔を見つめているのが目に入った。
優二も、青い顔をしながら、ジュリアの顔を覗き込む。
どうやら、彼女は昏睡状態らしい。
『あなた、何か知ってるんでしょう?』
カレンが、冷静な声で優二を問い詰める。

『ジュ、ジュリアは一体・・・?』
『彼女は、自殺しようとしたのよ・・・』
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
『私の持病の薬を、一瓶丸々飲んだんだわ・・・』
カレンは、そう言うと、表情を一変させて、思い切り優二を睨みつけた。


続く・・・


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マニラKTV悲話 その㉘ 過ち・・・ [小説]

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優二は、大橋とアンダルに別れを告げると、その娘を連れて自分のコンドへと帰っていった。
『帰りのタクシー代は、別に渡してやれよ・・・』
別れ際に大橋は、にやりと笑いながら、そう言ったものである。
部屋に入ると優二は、酒を飲んだ勢いを借りて、直ぐにアンナをベッドに押し倒した。
ジュリアの時のように、遠慮などは微塵も無い。

荒々しく服を脱がせると、下着まで一気に剥ぎ取り、挑みかかった優二である。
この辺は、やはり優二も男であった。
本能で、身体が動いていると言って良い。
下着の向こうは、やはり、想像した通りのナイスバディーである。
小柄な割には、大きなおっぱいにくびれた腰、お尻などは雪のように白い。

アンナは、女としての、全ての武器を持っていたと言って良かろう。
その身体つきを見た優二は、興奮度を更に増して来たのか、上から下まで、むしゃぶりつくよ
うにして、アンナの身体を弄(まさぐ)る。
ジュリアは、未だ経験も少ないせいか、乳首などの感度も弱かった。
しかし、このアンナは全く違う。

吸い付くような肌を持っており、優二のつたない愛撫にも、声を出して反応してくれるのだ。
生まれて初めての経験に、優二は相当酔い痴(し)れていた。
圧巻は、インサートの時だ。
コンドームを使用しているにも関わらず、あそこが切れるのではないかと思うくらい、局部を
締め付けて離さないアンナである。

『ううう・・・』
彼は、こらえ切れなくなったのか、思わず発射してしまった。
この行為が、こんなにも気持ち良いものだと、生まれて初めて知った優二である。
ベッドの上で仰向けになりながら、優二は余韻に浸っていた。
が、少し休憩を挟むと、優二は、再びアンナに挑み掛かる・・・

何の事はない。
次の日は仕事なので、アンナを早く帰らすつもりでいた彼であったが、とうとう、その夜中中
やりまくってしまった優二である。
(ああ、何て気持ちがいいんだ、やっぱりたまには他の女もいいもんだな・・・)
ついついそう思ってしまった優二だが、やはり、男の身勝手というものは、仕方が無い。

気が付けば、夜は、もうとっくに明けている。
優二は、部屋の外で、別れ間際にも、彼女にこう言った。
『又会えるかな?』
『うん、いいわよ・・・』
そう会話をして、二人は電話番号を交換して別れたのである。

その時、隣の部屋のドアがすっと開き、二人の別れ際を見た者がいた事に気付かずに・・・
さて、次の日曜日・・・
今日は、優二の休みと、ジュリアの休みが珍しく重なる日であった。
そうなると、当然デートと言うことになる。
ジュリアは、今日も優二に食事を作る予定だ。

もう、待ち合わせなどは必要ない。
優二のコンドは、勝手知ったる、我が家と同じである。
ジュリアは、優二から、合鍵を渡されていた。
優二の家に行く前に、ジュリアはハリソンプラザで食材仕入れに向かう。
その時である。

買い物をしていると、見たことのある女性が、彼女に声を掛けてきた。
『ああ、あなたは・・・』
見ると、優二の隣の部屋に住んでいる、銀行勤めのエミリーであった。
彼女は、35歳で独身。
マネージャ-で、収入はあるが、婚期を逸したのか、未だに独身のキャリアウーマンである。

ジュリアとも、何回か優二のところを訪れる内に、顔見知りにはなっていた。
『あら、又、彼の所に行くのね?』
エミリーは、少しジュリアを憐れむような口調でそう言った。
ジュリアは、不審そうに・・・
『はい、そうだけど、どうして・・・?』

不思議そうな顔をして、エミリーを見詰めるジュリア。
エミリーは、いかにも心配そうな顔をしながらこう言う。
『あなたの彼、大丈夫かしら・・・?』
『えっ、優二がどうかしたの?』
『ああ優二というのね、でもあなた知ってる?、彼、この間違う女を連れ込んで居たわよ。』

容赦なく、そうジュリアに伝えるエミリー。
(ガーン、ガーン、ガーン・・・)
ジュリアの頭の中で、マニラ大聖堂の鐘の音が、勢い良く鳴り響いていた。
(絶対に、嘘に違いない・・・)
彼女は、エミリーへの挨拶も忘れて、買い物も途中で放り出し、優二のコンドへと向かった。

ドアベルを鳴らしたが、生憎と優二は出掛けていて居ないのか、ドアは開かなかった。
時間の約束まではしていなかったので、その間、買い物にでも出掛けたのかもしれない。
ジュリアは、仕方なく合鍵を使い、部屋の中に入る。
彼女が、優二の部屋で先ずしたこと。
それは、彼がいつもコンドームを入れている、キャビネットの中をチェックすることである。

彼女は、優二がゴムを大量に買い込んでいるのを、一緒に買いに行ったから知っていた。
一番最初の時と違い、ジュリアは完全な避妊を望んだからである。
妊娠でもして姉にバレたら、それこそ大変だからであった。
彼女は、何度も数え直したが、どう数えても5個程足りなかった。
一箱3個入っているのを、計算の上である。

彼女は、数える内に、自分でも血の気が引いていくのが分かった。
でも、彼女は優二を信じたかった。
いつの間にか、涙が頬を伝っていたが、彼女はそれを拭おうともせずに、延々と数えなおす。
その時である。
鍵が開く音がして、優二が部屋の中に入って来た。


激動の来週に続く・・・


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マニラKTV悲話 その㉗ 暗黒喫茶・・・ [小説]

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(暗黒喫茶にパトロール・・・???)
優二には、一体何のことだか理解が出来ない。
しかも、この男ときたらどうなのであろう。
大橋から、暗黒達磨太子と紹介を受けたが、体型は、確かに達磨そのものであった。
頭の小丸に、身体の大丸・・・

見事なまでの、達磨体型であった。
『略してアンダルさ・・・』
大橋は、笑いながらそう言った。
アンダルは、大橋と常々、暗黒喫茶と名付けているカフェに、入り浸っている。
まあ、パトロールと称してはいるものの、そこに出入りしている女の娘をチェックしているだけなのだ。

勿論、本人達には邦人旅行者を暗黒星人(ここでは性悪ピーナ)から守るという、大義名分が有った。
売れ残りの女の娘が集まる店として、そのカフェは有名なのだが、時にはセットアップに嵌めるような、
悪い輩も出入りしているらしい。
まあ、それでも、交渉次第で一夜の恋愛が成立するので、旅行者にはお手軽のようである。
しかし、それだけに、充分に気を付けないといけない場所ではあった。

そのカフェの本当の名前は、別にあるのだが、大橋が面白がって付けた名前が暗黒喫茶である。
兎に角、そこへ優二も連れ立って行ってみようというのが、大橋とアンダルの提案であったのだ。
優二は、思わず行くと返事をしてしまった。
何やら、面白そうだとな思ったのだ。
飯を食い終わると、3人は、早速暗黒喫茶へと向かった。

『う~ん、これが暗黒喫茶ですか・・・?』
優二は唸ったが、時間が早いのかまだ女の娘の出入りが少ない。
大橋の勧めで、優二達はビールを飲んで待つことにした。
今日は、別にジュリアとも約束をしていない。
(少し、羽目をはずしてみるかな・・・)

優二は、自惚れが嵩じていた時でも有り、ついつい、そう思ってしまった。
その時である。
優二の目に、一人の可愛い娘が止まった。
幼顔だが、ボディは素晴らしい身体つきの娘だ。
一瞬、優二は我を忘れるくらい、その娘に見入ってしまった。

『ああ、あのアンダルさん・・・』
『ええ、どうかしましたか?』
『あのう、ここにいる娘なら、誰でも連れ出せるんですか?』
『そうですね、交渉が成立なら大丈夫だと思います。』
『お、優二君、誰か気に入った娘でも居るの?』

横で飲んでいた大橋が、優二の方に目を向けてそう言った。
『は、はい、実は・・・』
優二は、そのナイスバディの女の娘の方を指差した。
『ああ、あの娘はあまり見掛けない娘だな、多分新顔だろう・・・』
流石に、暗黒警備隊長の大橋である。

出入りしている女の娘達のことは、殆ど把握しているものと思われる。
大橋は、直ぐに女の値踏みをしたのか、アンダルに指令して、優二の代わりに交渉に当たらせた。
『4000だそうです。』
アンダルが、そう言いながら戻って来た。
『何い、ふざけるな!』

大橋は、怒気を発しながらそう言い捨てると、自分自身で交渉に向かった。
暫くその娘と話をしていたが、やがて、その娘を連れて席に戻って来た。
『朝まで、2000でいいそうだぜ。』
『はあ・・・・・・・』
興味本位で聞いて貰っただけの優二だが、こうなったら、もう連れて帰るしか無いと心に決めた。


続く・・・

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マニラKTV悲話 その㉖ うぬぼれ・・・ [小説]

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姉のカレンの目を気にしながらも、優二とジュリアの蜜月は、年を越してからも暫く続いた。
今回の正月は、赴任早々ということも有り、優二は日本には帰ってはいない。
半月遅れで赴任して来る筈だった部長の岩崎も、変更で、年明け過ぎてからの渡比になるようだ。
優二は、そういうことも有り、のんびりと駐比人生を謳歌している。
そんな中、嫉妬深いのは相変わらずだが、ジュリアは、見違えるほどに色気を増して来ていた。

カレンは、何かしら薄々感じてはいたものの、ジュリアと優二がそんなにも深い間柄になっていると
までは、気付いていない。
相変わらず、自分には従順な妹のままだと、心の底から信じていたからだ。
何せ、父親を早くなくし、遠く離れた母親代わりに、ずっと妹の面倒を見てきたカレンである。
『惚れるな、触らすな、やらすな』の、3つの教訓は、守り続けているものだと、信じて疑わなかった。

で、一方の優二は、どうであろう。
彼はその頃、ジュリアの元を訪れる回数を、大幅に減らしていた。
勿論、ジュリアとの合意の元にである。
節約の為といえば聞こえは良いが、彼もやはり男であった。
浮気心が芽生えたのである。

優二は、小牧の誘いで、あれから2、3度『珍獣の森』に行ったのだが、そこの女の娘達に、不思議に
モテる自分に気が付いた。
まあ、35歳で言葉が出来て顔がそこそこなら、獲物を探しているKTV嬢にモテるのは仕方が無い。
彼は、ジュリアとの密会を楽しむのと、違うKTVの女の娘にモーションを掛けられる内に、自信を超え
る感情を持つようになってしまった。

つまり、自惚れて来たのである。
ジュリアをものにして自信を付けた彼は、フィリピン嵌りのオヤジに有りがちな勘違いぶりを、発揮し
始めたと言うわけであった。
ジュリアの店に行くのは、週に2度か3度。
その他の日は、『珍獣の森』など、違う店に行くことも増えた優二である。

正月など、吉本や小牧達が帰国した後に、優二は、『珍獣の森』の女の娘とデートまでしていた。
特に口説くようなことはしていないのだが、自分の魅力を、試してみたくなったのである。
マカティの、ショッピング街でのデートであった。
まあ、ここならマラテからは離れているし、ジュリアにもばれないであろう。
この時の優二は、自分の魅力=金と若さとルックス という構図に気付いていない。

あくまでも、自分はモテると信じているのだ。
確かに、表面上ではそう見える。
が、しかし、それがフィリピーナの打算(見極め)に依るものなどとは、少しも思わなかった。
有頂天の優二には、そういうことなどは、見える筈も無かったのである。
兎も角、初パルパロを済ませた優二は、余計に自信を付けてしまったようだ。

ある夜の事、優二は久しぶりに、『太虎』で飯を食うことにした。
久しぶりと言ったのは、最近では、マカティ方面で飯を食うことも多い優二だったからだ。
『ああ、いい所に来たね、飯を食ったら、少し散歩に行かないか?』
店に入った途端、大橋が優二に声を掛けた。
『えっ、何処に行くんですか?』

優二は、少しどぎまぎしながらそう言った。
大橋からそういう提案を受けるのは、、初めてのことだったからである。
『その前に、この男を紹介するよ。』
彼は、一人の男を指差しながらそう言う。
指で差されたその男は、すっと立ち上がると、優二にこう挨拶をした。

『ああ、初めまして、大宮と云います。』
『又の名を、暗黒達磨太子だよな・・・』
大橋が、そう言った。
『そう言うアダ名を、この大将から付けられたんです、もし良かったら、これからその暗黒喫茶にパトロ
ールに一緒に行きませんか・・・?』


続く・・・
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