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マニラKTV悲話 その㉒ 疑惑の氷解・・・ [小説]

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カレンは、よく喋る・・・
いや、喋りすぎるほどに喋った。
優二が、再会の記念だと言って、LD代わりに、シャンパンを1本入れてやったからである。
優二は、カレンからテキ-ラの話を聞き、テキーラに悪意を持つようになっていた。
その代わりと言っては何だが、シャンパンを入れることにしたのだ。

これでも、数杯分のLDにはなる。
ポイントの足りなかったこの姉妹には、非常に有難かった。
カレンは、喜びのあまり、野口の悪口を仕切りに言い始めた。
その方が、優二が喜ぶと思ったのだ。
さて、話を少し前に戻そう。

カレンの話によると、野口は偽装結婚のブローカーなのでそうである。
ジュリアには、それを目的に近付いた。
数回客のふりをして女の娘に近付き、その後、偽装結婚を持ち掛ける手口なのだそうだ。
野口はあの後、数回ジュリアに通ったらしい。
しかし、それに気付いたカレンがジュリアを防御した。

諦めた野口は、今度はジーナに手を染めてきたというわけだ。
真相は、全て飲み込めた。
まあ、誤解は完全に解けたのである。
優二が大喜びしたのは、間違いない。
『明日も又来るね。』

優二がそうジュリアに約束した頃には、既に深夜の3時を超えていた。
既に、閉店の時間である。
優二は、ジュリア達にお休みを告げ、飲み過ぎのまま、コンドに帰っていった。
次の日、と言っても既にその数時間後だが、優二は二日酔いのまま会社に行くことになる。
マニラの交通事情を知らない彼は、大幅に遅刻したのは言うまでも無い。

約、1時間近くも遅刻して、副支社長の吉本に、こっ酷く叱られた優二である。
『何故、コンドを会社の近くにしなかったんだ?」、とも彼に言われて困ってしまった。
小牧は、その叱られる優二を見て、ほくそ笑まざるを得ない。
出世のライバルが、何せ初日でこけたのである。
ざまあみろとは言わないが、優二は確実に出世の道から遠ざかるな、と位は思ったであろう。

この時の小牧は、何れ、自分もそれ以上の目に遭うことなどを、知る由もなかったのである。
それはさて置き、初日から散々の優二であったが、退社時から急に又元気が出てきた。
(今日は、コンドには戻らず、真っ直ぐに太虎へと向かおう・・・)
そう思った優二の目的は、無論、食事後のジュリアである。
優二は、大橋に会うと、開口一番、昨日の野口の話をした。

大橋の話によると、野口は、常連の客ではないという。
多分、2回位は見たことがあるそうだ。
『まあいいさ、今度この店に来たら、あんな奴出入り禁止にしてやる・・・』
吐き捨てるように、そう言った。
大橋は、偽装結婚などという姑息な手段を、最も嫌っていたのである。

そいつらのお陰で、まじめに結婚を考えている人間が、迷惑を蒙ると言うのであった。
それもその筈で、偽装結婚が蔓延ると、日本側で、防止策の為に結婚ビサなどの、書類審査が
厳しくなる。
つまり、偽装でないことを証明するために、時間と手間が余計に掛かるのだ。
大橋は、ブツブツ言いながら、奥へと入って行った。

さて優二は?
食べ終わると、早速U店に向かった。
携帯電話で連絡をしておいたお陰なのか、ジュリアは、優二を待ってくれていた。
二人の会話は、、それから長く続けられていく・・・
優二よ、明日は果たして起きられるのか?

続く・・・
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