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マニラKTV悲話 その㉗ 暗黒喫茶・・・ [小説]

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(暗黒喫茶にパトロール・・・???)
優二には、一体何のことだか理解が出来ない。
しかも、この男ときたらどうなのであろう。
大橋から、暗黒達磨太子と紹介を受けたが、体型は、確かに達磨そのものであった。
頭の小丸に、身体の大丸・・・

見事なまでの、達磨体型であった。
『略してアンダルさ・・・』
大橋は、笑いながらそう言った。
アンダルは、大橋と常々、暗黒喫茶と名付けているカフェに、入り浸っている。
まあ、パトロールと称してはいるものの、そこに出入りしている女の娘をチェックしているだけなのだ。

勿論、本人達には邦人旅行者を暗黒星人(ここでは性悪ピーナ)から守るという、大義名分が有った。
売れ残りの女の娘が集まる店として、そのカフェは有名なのだが、時にはセットアップに嵌めるような、
悪い輩も出入りしているらしい。
まあ、それでも、交渉次第で一夜の恋愛が成立するので、旅行者にはお手軽のようである。
しかし、それだけに、充分に気を付けないといけない場所ではあった。

そのカフェの本当の名前は、別にあるのだが、大橋が面白がって付けた名前が暗黒喫茶である。
兎に角、そこへ優二も連れ立って行ってみようというのが、大橋とアンダルの提案であったのだ。
優二は、思わず行くと返事をしてしまった。
何やら、面白そうだとな思ったのだ。
飯を食い終わると、3人は、早速暗黒喫茶へと向かった。

『う~ん、これが暗黒喫茶ですか・・・?』
優二は唸ったが、時間が早いのかまだ女の娘の出入りが少ない。
大橋の勧めで、優二達はビールを飲んで待つことにした。
今日は、別にジュリアとも約束をしていない。
(少し、羽目をはずしてみるかな・・・)

優二は、自惚れが嵩じていた時でも有り、ついつい、そう思ってしまった。
その時である。
優二の目に、一人の可愛い娘が止まった。
幼顔だが、ボディは素晴らしい身体つきの娘だ。
一瞬、優二は我を忘れるくらい、その娘に見入ってしまった。

『ああ、あのアンダルさん・・・』
『ええ、どうかしましたか?』
『あのう、ここにいる娘なら、誰でも連れ出せるんですか?』
『そうですね、交渉が成立なら大丈夫だと思います。』
『お、優二君、誰か気に入った娘でも居るの?』

横で飲んでいた大橋が、優二の方に目を向けてそう言った。
『は、はい、実は・・・』
優二は、そのナイスバディの女の娘の方を指差した。
『ああ、あの娘はあまり見掛けない娘だな、多分新顔だろう・・・』
流石に、暗黒警備隊長の大橋である。

出入りしている女の娘達のことは、殆ど把握しているものと思われる。
大橋は、直ぐに女の値踏みをしたのか、アンダルに指令して、優二の代わりに交渉に当たらせた。
『4000だそうです。』
アンダルが、そう言いながら戻って来た。
『何い、ふざけるな!』

大橋は、怒気を発しながらそう言い捨てると、自分自身で交渉に向かった。
暫くその娘と話をしていたが、やがて、その娘を連れて席に戻って来た。
『朝まで、2000でいいそうだぜ。』
『はあ・・・・・・・』
興味本位で聞いて貰っただけの優二だが、こうなったら、もう連れて帰るしか無いと心に決めた。


続く・・・

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