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フィリピン移住を考える・・・その⑳ 『私の回顧録5』 [移住]

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Kとの電話を切った後で、気付いたことがありました。

そう言えば、この日は月曜日です。

(えらくタイミングがいいな・・・)


その時は、そういうことも考えませんでした。

まあ、月曜日なので、銀行が開いてて良かったと思っただけです。

暫くして、トニーが来ると思いきや、代わりにボーイがやって来ました。


聞くと、トニーは腹痛で来られないと云うことです。

ボーイも、トニーには少し劣りますが、日本語がある程度は喋れましたね。

やむを得ず、銀行へは彼に同行をお願いすることになりました。


『Kとはもう長いのかい?』

銀行までの道のりの中で、私は彼に尋ねました。

『いや、トニーのボスだから知っているだけね。』


(へ~え、意外と付き合いが短いんだな・・・)

私がそう思っている間に、車は銀行へ到着しました。

現金を下ろそうとすると、これが又一悶着・・・


月曜の朝だからという理由で、現金が銀行にありません。

日本では考えられませんが、こちらでは割りと多いことです。

2時間ほど待たされて、やっと現金を受け取る事が出来ました。


現金をバッグに詰め、ボーイが私に寄り添うようにしてガードしながら、車に乗り込みます。

乗り込んだ後、ボーイがエンジンを掛けて車をバツクさせ、向きを変えた時のことでした。

後部座席に乗っている私に、ボーイがこう云います。


『ごめんなさい◯◯さん、後ろのタイヤがパンクしているみたい、ちょっと見て呉れませんか?』

私は窓を開けて見ようとしましたが、その位置からはよく見えません。

仕方が無いので、私が車から降りてみて見ることにしました。


右後ろ良し、左後ろ良しで、車の窓の外から、ボーイにOKのサインを出した時のことです。

ボーイが、お金の入ったバッグを車に載せたまま、猛烈な勢いで走り去るではありませんか!

慌てて追いかけましたが、もう後の祭りです。


一瞬の出来事で何が何だか理解が出来ず、呆然としてそこに立ち尽くして仕舞いました。

1時間後、ホテルに戻った私は、必死でKとトニーに連絡を取ろうと試みました。

Kの自宅に電話しましたが、誰も出ません。


トニーの家は娘が出ましたが、彼は留守だと云います。

私はもう、何をして良いのか分からず、途方に暮れていくばかりでした。

何故ならば、先ほどの銀行では、ほぼ全額を引き出してしまったからです。


銀行からお金を下ろすのは、意外と手間暇が掛かるものだと分かったので、運転資金も銀行から下ろ

しておいて、手持ちで持とうと考えたのが最大の悔やみごとでした。

これで、手持ちの金は、例の持ってきた100万円の残りということになります。


そのお金も、ホテル代や飲食代、誰かに盗まれたりと、残り50万円余りとなっていましたね。

しかし、その日はとうとう誰とも連絡が取れませんでした。

私はその夜、失意の中食事も取らずに、ホテルに引き篭もることになったのです・・・


涙ながらも続く・・・


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