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マニラKTV悲話 その㊲ カレン再び・・・ [小説]

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優二のコンドで、二人は抱き合っていた。
男女の仲など、その行為をするだけで、些細な溝など埋まってしまう。
二人は、積極的に、それに没頭していたと言って良い。
優二も、以前の過ちを忘れて仕舞いたいし、ジュリアも、そのことで傷ついた自分を忘れたかった。
フィリピーナ特有の癖で、いつかはその事を思い出し、突然、優二を責めるかどうかは分からない。

だが、この時は、本気で忘れてしまいたかったのだ
ジュリアの、以前の憎しみは、今は、愛に置き換えられている。
人は、憎しむが故に愛し、愛するが故に憎むのである。
愛と憎しみは、常に、表裏一体であった。
お互いの記憶を消し去るには、精神的にも肉体的にも、燃え上がる行為をするしか無いのだ。

お互いに、むさぼるようにして、相手を求め合う二人・・・
この時、ジュリアは、女としての、本当の開花を迎えたと言って良い。
浮気をされたことで、優二に対する独占欲が、逆に高まっていた。
憎しみというエキスが、愛を、一層増幅させたのであろう。
彼女は、燃え盛る行為の中、いつの間にか、優二の性器を咥えて仕舞っていた。

何処で見たのか聞いたのかは知らないが、見よう見真似で有ったに違いない。
彼女は、拙いながらも、優二のそれを口に含みながら、舌を動かす・・・
優二は、狂喜した。
以前は嫌がって、絶対に咥えようなどとはしなかったジュリアである。
『うう・・・』

優二は、そううめき声を出すと、ジュリアの口の中で逝ってしまった。
しかし、彼はまだまだ若い。
5分も経たない内に、又もや回復してきた。
作者が羨む暇もなく、再びその行為が始まった。
今度は、ジュリアの中でイキたい。

そう思った優二は、コンドームを装着しようとした。
が、それを止めるジュリア。
二人の仲を引き裂いた元凶は、このコンドームである。
これは、はっきり言って、トラウマだ。
優二は、それに気付き、生で挿入をすることに決めた。

(まあ、外に出せば良かろう・・・)
優二は、そう考えたからである。
30分後、行為を終えた二人は、シャワールームに居た。
余りに激しく燃えすぎたのが急に恥ずかしくなったのか、ジュリアは寡黙になっている。
優二は、濡れた身体で、彼女を再び抱擁した。

シャワーが終わって、暫く休憩の後、二人はカレンの元に出掛けた。
先程から、ジュリアの携帯電話に、カレンからのテキストが、数多く着弾していたからである。
恐らく、叔母から連絡を受けたのであろう。
彼女からすると、気が気でなかったに違いない。
ジュリアは、叔母にはマニラに帰るとだけしか、告げて居なかった。

だから、叔母もカレンにはそれしか伝えていない。
(こんな時間まで、何をやっているんだろう・・・?)
彼女には、妹のことが理解出来なかった。
自殺未遂までした癖に、彼女は最初、叔母の元に行くのを嫌がった。
『万が一、優二が又店に来たらどうするの?』

カレンは、そう説得したのだが、ジュリアが、中々首を縦に振らなかったのである。
彼女は、優二に対して、まだ思い入れを持っているのかも知れない。
そう考えたカレンは、無理矢理に叔母のところへ連れて行ったのである。
でもしかし、流石のカレンも、優二とジュリアが再会していることなどとは、夢にも思わなかった。
ほとぼりが覚めたら、ママさんにでも頼んで、系列店にでも移そうと思っていたカレンである。

カレンが、ジュリアと連絡が取れないのをイライラしていたその時、アパートの部屋のドアの方から、
鍵の開く音が聞こえてきた。
『ジュリア、ジュリアなの?』
カレンが、急いでドアの方に行くと、部屋に入って来たジュリアに続いて、優二の姿を見つけた。
『オーマイガー、ジュスコダイ・・・!』


続く・・・
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