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フィリピン童話集 『ピーナキオⅡ』 [フィリピン童話]

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前回のお話はこちらから・・・

読んだことない人は、どーぞ!

さ~て、続編のはじまりはじまり~~~♪♪


あれから、一年の月日が流れました。

ピーナキオの悪夢は過ぎましたが、『ひでじい』は相変わらずの一人暮らしのままです。

喉元過ぎれば熱さを忘れるの例えの通り、今の『ひでじい』は、やはり寂しさを抑えきれません。


たとえ悪夢のような生活であっても、もう一度、生きたピーナキオに会いたくなりました。

(全く懲りないジジイだな・・・)

作者ももう、呆れ果てるばかりです。


こうと思い立ったら、居ても立っても居られないのが、『ひでじい』の性格なのでしょう。

彼は、早速新しい木彫の、『ピーナキオⅡ号』の制作に取り掛かりました。

今度は、悪魔の様な性格ではなく、出来るだけ観音様のように、優しい顔立ちに彫っていきます。


渾身の力を振り絞って、『ひでじい』は『ピーナキオⅡ号』を三週間で彫り上げました。

『う~む、これはこれは・・・』

『ひでじい』からみても、会心の作とも言える、新しい人形が出来上がったのです。


白木を使ったので、色白の人形に仕上がっていました。

顔も、以前と比べて、すごく上品で優しそうです。

(後は、女神様を呼んでお願いするばかりだな・・・)


『ひでじい』は、そう考えてただけで興奮して、その場で小便を漏らして仕舞いました。

しかし、そんなことにはお構いなしの『ひでじい』です。

濡れた下半身のまま、早速女神様を呼び出すために、熱心に祈り始めました。


『ひでじい』が祈り始めて3時間余り・・・

願いが通じたのか、『ひでじい』の前に、例の女神様が現れます。

(とほほ、又こいつかいな・・・)


女神様は、『ひでじい』を見ると、流石に嫌な顔をしました。

『ひいっひっひっひ、これはこれは女神様、又お願いがあってお呼びしました、どうかわしの願いを

叶えて下さらんか・・・)


『ひでじい』は、濡れた股間に、不気味な愛想笑いを浮かべながら、女神様にそう云います。

女神様は、それを見ただけで、もううんざりです。

『で、何の用なのよ?、おっさんの願いは、以前も叶えて上げたでしょ?、まだ何かあるの?』


『それがそのう・・・』

『ひでじい』は、流石に気が引けるのか、恥ずかしそうに女神様に向ったまま口を閉ざします。

こうなると、余計にいらいらが募る女神様でした。


『わかったわ、早く言いなさい、そうすれば、今度も願いを叶えて上げるから・・・』

もう、すっかりと、女神様の御機嫌を損ねてしまった、『ひでじい』です。

が、『ひでじい』は、恐る恐る自分の願いを、女神様に伝えました。


願いを聞いた女神様は、さすがに呆れて物も言えません。

しかし、一度は願いを聞き届けてやると約束した手前、後には引けません。

超面倒くさいながらも、『ひでじい』の願いを届けてやることにしました。


『お前の願いは聞き入れられた、明日の朝になれば、そなたの作ったその人形に、魂が吹き込まれ

ているであろう・・・、しかし良いか?、今度はもう、取り消しは聞かんぞよ・・・』

女神様はそう言うと、『ひでじい』の前から姿を消しました。


『ひでじい』はもう、泣かんばかりに喜びました。

(ういっひっひっひ、明日になったら、明日になったら、こいつとあんなことをしたりこんなことをしたり

出来るのじゃ、ああ、楽しみじゃのう・・・)


自分が彫り上げた人形を前に、『ひでじい』は余程興奮が募ったのか、射精までして仕舞いました。

(ああ、勿体無い勿体無い・・・)

明日のために取っておけば良い物を、これだから年寄りはいけません。


『ひでじい』は、思い切り後悔しながらも、その夜は寝ることにしました。

『コケコッコー』

一番鶏が鳴き、朝になりました。


『ひでじい』は、いそいそと寝床から起き出します。

そうして、『ピーナキオⅡ』の姿を探しました。

(おかしいな・・・)


確かに、昨夜は自分のベッドの脇の壁に、立て掛けて置いた筈です。

それが、今は確かに居ないのです。

『ひでじい』は、焦りました。


『ピーナキオ』は、ふらっと、外にでも出て仕舞ったのかも知れません。

そうなると、あの美形ですよ。

誰かにでも誘拐されたら、これは一大事です


『ひでじい』は、急いで外に飛び出して行きました。

その時です。

近所のサリサリストアで、タバコを買っている『ピーナキオ』を見つけました。


彼は、急いで『ピーナキオ』に近づいてこう言いました。

『おい、『ピーナキオ』よ、一体そこで何をしておるのじゃ?』

『何い~、見ても分からねえのかこの糞じじい、俺はタバコを吸ってんだよう・・』


まるっきり、男のような声で『ピーナキオ』は言いました。

『それでよう、俺はパチンコに行きたくなったから、とっとと銭を寄越しな!』

そう言って、更に追い打ちの言葉が、『ピーナキオ』から発せられました。


『ひでじい』は、もうショックで口が聞けません。

どうやら『ピーナキオⅡ』は、女の身体を持ちながら、男の心を持って生まれ変わって来たようです。

どちらにしても、嫌々ながらに、女神様が適当に入れた魂です。


まあ、生きてさえ居れば、男と女、どっちでも構わないとでも、思ったのかも知れません。

『ひでじい』は、最後のあがきで、『ピーナキオ』に抱きついてみました。

その瞬間、『てやんでえ・・・』と、投げ飛ばされて仕舞った『ひでじい』です。


その言動といい行動といい、これは間違いなく男でしょう。

『ひでじい』は、投げられる前に、『ピーナキオ』の股間に触れて居ました。

そこには、無い筈の男の一物が、確かに有ったのです。


そして、『ひでじい』は、『ピーナキオ』の顔を、よくよく観察して見ました。

すると、どうでしょう。

顔にはうっすらと、ヒゲが生えているでは有りませんか・・・


もう、『ひでじい』の見立てに、間違いは有りません。

『ひでじい』には、これからの生活が、想像出来ました。

今度はやれるどころか、一生こき使われるだけなのは、間違いないでしょう。


それからの『ひでじい』は、泣いて暮らすしか有りませんでした。

女神様には、キャンセルは許さないと念を押されています。

『ひでじい』は、そう考えると、腹をくくるしか有りません。


そう覚悟を決めた『ひでじい』でしたが、蓋を開けて見ると、全然想像と違いました。

すっかりと男の服装になった『ピーナキオ』改め『ピーノキオ』は、プレイボーイ振りを発揮し始めた

のです。


ガールフレンドの数も、半端では有りません。

両手には、遥かに余るその女達に、彼は貢ぎさせ始めたのでした。

掃除洗濯も勿論、その女達の仕事です。


『ひでじい』は、すっかりと働く必要はなくなりました。

やることといえば、『ピーノキオ』の秘書的な仕事ばかりです。

女の娘のローテーションや、喧嘩の仲裁などが主な仕事になりました。


それに、気前の良い『ピーノキオ』は、時々自分のガールフレンドを、『ひでじい』に回してくれます。

衣食住に女と、『ひでじい』には思って見なかった展開に目を丸くするばかりでした。

そうして彼は、死ぬまで幸せに暮らしましたとさ!


ああ、これでは、何の教訓にはなりませんねえ・・・(爆)


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