モツ鍋屋の親子がいくフィリピン紀行 2 [小説]
Fさんは、日本語がわかるスタッフと、車を出してくれることになった。
お金の事を心配したのか、Fさんは、スタッフに日当を出して呉れるだけでいいからと、そう徳次に言う。
(何と有り難いことであろうか・・・)
徳次はそう思ったが、これで親父を無事に見つけられたら、その時は、それ相応のお礼をしようと、心に
は決めていた
一時期、真造と一緒に不良仲間に入っていた割に、義理人情には、相当厚い徳次であったのである。
ドライバーの名前は兎も角、通訳兼ガイドには、ローリーと言う名の男の子が付いてくれた。
彼には以前、日本人の奥さんが居たらしい。
数年間日本で暮らしていただけに、日本語はかなり堪能であった彼だが、暮らしていたのが東北地方
ということもあり、少し訛りがあるのがまた愛嬌であった。
『そろそろ参りましょうか?』
ローリーが、徳次にそう言った。
参りますかなどとは、今日の日本人でも中々使わないが、彼は、こういう古典的な日本語が大好きだ。
日本のテレビ番組の中でも、『水戸黄門』が1番好きだったようで、ひょっとすると、その時代劇の影響
も受けたのかも知れない。
では参りましょう、ということで、一行はハイエースのバンに乗り、一路ブラカンを目指すことになった。
ここからの道のりは、皆さんは御存知であろう。
数週間前に、定次たちが通った道だからである。
流石に、Fさんの所のドライバーだ。
ブラカンに着いても、迷うこと無く、目的地まで人に道を尋ねることもせずに、真っ直ぐに走っている。
徳次は、そのことをローリーに聞いたが、何のことはない、ドライバーは、この辺りの出身なのである。
ニダの家までは知らないが、この辺のバランガイには、顔見知りが沢山居るのだそうだ。
ジュネムを出て2時間半あまり、車はようやく、目的地にまで着いた。
ローリーが、早速車から降りて、ニダの家をノックするが、誰も出てこない。
その物音を聞きつけたのか、近所の家から老人が出てきて、こう尋ねた。
『ああ、あんた達、そこには誰も居ないよ。 3週間前に刃傷沙汰があってのう、今は病院に2人と、バ
ランガイに一人が拘束されておる。』
『こ、拘束・・・???』
ローリーの通訳でそれを知った徳次だが、全然意味が掴めない。
『その中に、日本人が居ないかどうか、聞いて貰えませんか?』
徳次は、ローリーにそう言った。
『ああ、そう言えばあの夜には日本人が居たそうじゃ、えらい賑やかでのう・・罵り合いのようなものが
始まったが、その後は悲鳴に変わっていった。 その後、バランガイは来るわ、警察まで来るわで大変
じゃったが、そこに居た日本人は、いつの間にか姿を消していたそうじゃて・・・』
老人の話を総合すると、バランガイに拘束されているのは、どうやらニダ本人らしい。
入院している2人は、恐らくジェフとカレンと思われる。
どうやら、殺しはしなかったものの、かなりの手傷は負わせたのであろう。
あれから、3週間は経っているので、未だに入院している所をみると、重症だったに違いない。
そんなことは知らない徳次だが、父親が怪我や拘束はされていなから安心したものの、定次らしきが
そこから消えてしまったという事実には、少なからずショックであった。
ここにも居ないとなると、一体何処に行ってしまったのであろうか?
ドライバーが機転を利かして、バランガイ事務所に行き、逃げた日本人のことを聞いてくれたが、誰か
らも、情報は得られなかった。
途方に暮れる徳次であったが、何かこのままでは、埒が明かないような気がする。
(これで、一から振り出しだな・・・)
徳次は、そう思うしか無かった。
その時である。
ジュネムのFさんから、ローリーに電話が入ったのだ。
ローリーは、一言二言喋っていたが、その携帯を、そのまま徳次に渡した。
『あ、徳次さん、あなたのお父さん大変よ、バギオで人に刺されて入院しているんだって・・・』
続く・・・
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定次と徳次の無事を祈りましょう!(爆)
2012-08-25 05:09
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コメント(22)
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埒があかなさそうに思えた瞬間、いきなり埒があきますたなw
いいスピードですな…(^^)
by 提督 (2012-08-25 06:22)
やっと、親子の再開になりまして安心です。
これで呑気な遊び人、定次も極楽往生出来ますね
by おちゃん (2012-08-25 06:39)
何故にジュネムトラベルに定次の消息の連絡が入ったのか?
恐らくバギオの日本人とFさんが知人だったとかいう筋書きなんでしょ?(爆
ちょっと展開を早めましたね(;^_^A
by 萬久 (2012-08-25 06:54)
お早うございます。
皆さんの突っ込みどころ共通してますね。
埒のあかないところ埒があきすぎるところのスピードの差ですかね・・・(ぷ
何はともあれ父親との再会は次号ですね・・・(笑
by 旅の老人 (2012-08-25 08:26)
さ~あ、どんどん加速して行きましょうw
by 名無しの龍 (2012-08-25 08:28)
一気にトップギアに入れましたなぁ~(笑
by Leo (2012-08-25 09:05)
さすが、Fさんの人脈の賜物ですね。
この様な女性がマニラにも数人居ると思います。
これらの女性人の活躍。乞うご期待ですね。
by ヤマハバイク (2012-08-25 09:05)
みんながつながってきましたね。
ところで、ラーメン屋の話にもつながってくるんですよね?
もしかして長編ですか?
by たばちん (2012-08-25 09:17)
提督はん
>いいスピードですな…(^^)
作者が、このスピードについて行けるかどうか・・・(爆)
by moimoi (2012-08-25 09:20)
おっちゃんさん
>定次も極楽往生出来ますね
即即是空!(喝)
ああ、間違いないでしょうな!(爆)
by moimoi (2012-08-25 09:21)
お萬さま
>ちょっと展開を早めましたね
理由は簡単です。
明日に朝までお待ちを・・・(笑)
by moimoi (2012-08-25 09:22)
鴨野さん
>何はともあれ父親との再会は次号ですね・・・
生きて会えれば良いのですが・・・
な~んちゃって!(爆)
by moimoi (2012-08-25 09:24)
名無しの龍ちゃん
>どんどん加速して行きましょうw
おいらの禿げのことけ?(爆)
by moimoi (2012-08-25 09:25)
Leoさん
>一気にトップギアに入れましたなぁ~
やるときゃあ、やりますよ!
で、何を?(爆)
by moimoi (2012-08-25 09:26)
ヤマハさん
ね◎とのママさんも、そうですね。
豪快な女性は頼もしいですな!(爆)
by moimoi (2012-08-25 09:28)
お束さん
>ラーメン屋の話にもつながってくるんですよね?
あ~、思い切り忘れるところでした!(爆)
by moimoi (2012-08-25 09:28)
ばんせぇ~
by shiNji (2012-08-25 10:11)
神示さん
喜んで頂いて光栄です!(爆)
by moimoi (2012-08-25 10:54)
おぉ~そして佳境に突入するのですね。
とうとう再開の日は近い、定次が生きているのか、そうではないのか?
見逃せませんね。
師匠の腕のみせどころですね(爆)
by カカロット (2012-08-25 12:25)
いよいよ息子もバギオ行きですね♪♪
バギオは大学があり若いババエも沢山居ますね♪♪♪♪♪♪
バギオへ行く時は、いつもババエと笠間でパロパロしたことがないので
次回は独り、またはその道の達人の師匠と逝ってみたいですな・・(^_^)/
_
by 洗濯屋 (2012-08-25 12:28)
カカ様
>腕のみせどころですね
う~ん、殺すべきか生かすべきか・・・?(爆)
by moimoi (2012-08-25 13:50)
洗濯屋さん
>いよいよ息子もバギオ行きですね♪♪
心配だから、付いていこうかな~!(爆)
by moimoi (2012-08-25 13:52)