働かざる者が食える国、フィリピン・・・①

Overseas Filipino Worldwideとも、Overseas Filipino Workersとも言われますね。

要するに、海外出稼ぎ労働者です。

彼らが本国へ送金する金額は、2010年で年間180億ドルを超えました。


その時点でその金額は、実にGDP（国内総生産）の10％を超えると言われていましたので、地下送金

などを含めると、今日ではそれ以上になっている可能性があります。

資源無き国なので、材料調達を輸入に頼っている現状から、貿易黒字は望めません。


この経常収支の赤字を補って余りあるのが、このOFWからの送金な訳ですな。

現在のフィリピンの経済は、このOFW達の力によって支えられているといっても過言では無いでしょう。

それほど、彼らは国家に貢献しているのです。



では、彼らは英雄なのでしょうか？

空港などでは、英雄扱いで送迎される姿がいつも見られますね。

確かに、国家経済には貢献しているでしょう。


しかし、それが家族崩壊を招いたり、本国での人材不足を招いたりと、弊害も少なくはないのです。

今回は、家族崩壊について述べましょう。

彼らOFWから送られてくるお金は、一体どう使われているのでしょうか？


ADB（アジア開発銀行）の調査では、送金の殆どが、食料品や衣料などに費やされているという結果

が報告されています。

次いで教育ですが、次期OFW候補生を育成するためには、これは欠かせません。


残りは住宅購入、貯蓄、次いでビジネスという順番になっているようです。

ビジネスが思いの外少ないのは、そこまでして働かなくても、送金さえ続けば生活は安泰だという事な

のでしょうか？


まあ、それはある意味正解かもしれません。

経験のないものが、商売に手を出して失敗するケースは多々あります。

で、留守番部隊であるOFWの家族は、必然的に消費と浪費を繰り返すようになりますね。


有る金は有る時に有るだけ使う・・・（苦笑）

これが、フィリピンでの鉄則です。

一週間後の千ペソよりも、今日の百ペソの方が大事なのですな。


これは、決して馬鹿にして言っているのではありません。

彼らには、本当に食えなかった時代があったのです。

私は、その時代の反動のようなものがそうさせたと考えています。


この習性を利用してのし上がってきたのが、SMなどモールの経営者ですね。

SMは、他のモールと違い、少々身なりのみすぼらしい客でも受け入れました。

只、涼みに客でも、中に入れたのですな。


それまでは、そういう客には見向きもしなかった他のデパートを尻目に、SMは、門戸を開いた結果に

なりました。

やがてそういう客は、家族の中に海外出稼ぎ労働者が現れると、最大の顧客になっていきます。


一種のにわか成金とも言える彼らは、最早涼むだけではなく、消費を積極的に始めたのです。

20年前、私が初めてマニラを訪れた時は、モールと言えばSMマカティとハリソンプラザ程度しか目に

は映りませんでした。


まあ、他にもあったのでしょうが、兎に角、今と比べて圧倒的に数が少なかったのです。

それが、OFWの増加に従って、今日のように、乱立とまで言えるくらいの急成長となりました。

自分で、汗水流して稼いだお金ではありませんよ。


だから、無遠慮で使えます。

ましてや、貯蓄する習慣が薄い国民性です。

あの買物風景は、豪快ですなあ・・・（笑）


送金の受領後、3日も経たずに使い果たすケースも、決して珍しくはないようです。

残りはどうするのか？

死んだように過ごすのですな。



若しくは、送金を担保に人からお金を借ります。

これが実に多い・・・

OFWの家族向けに、お金を貸し付ける業者が沢山存在しますね。


銀行もそうですよ。

住宅を買わせて金利で儲けるだけではなく、払えなくなった家を没収して転売し利益を上げています。

大体、使い慣れていないお金を手にすること自体が、間違いの元ですね。


家族に楽をさせてやろうと思うOFW労働者なのでしょうが、逆に家族を借金地獄に追いやっているよう

に見えるのは私だけでしょうか？

明日は、違う事例を上げて、記事にしたいと思います。


続く・・・・・


今日こそは、ここを押しましょうず！（爆）
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コメント 18

素晴らしい指摘なのですが、これを理解してる人は非常にすくない？

自分がOFWから帰って来て初めて、理解するケースが多いみたいですね。

難しい話です。
by 名無しの龍 (2012-05-22 09:53) 

マニラから田舎に行く幹線道路の脇にはブロックを積んだだけで雨ざらしで崩れ落ちるような建物をよく見かけました。
話しに聞くとこのＯＦＷの送金で家を新築しようとしたが途中で送金が途絶え中座したと聞きました。
知り合いのタレントの多くも家を作る時はまず基礎から作り始めお金が出来たら壁、次に屋根、次に窓のようなステップだそうです。

生憎後進国と称する国々を私は全く知りませんのでどうしても日本と比国の２国間の比較になってしまいます･･･(笑
その出稼ぎ労働者のお陰（？）で今も比国好きの私なのですが･･･（ぷ

筆者も当然ご同輩でしょう？（微笑
『毒を食らわば皿までも』の心意気で？！･･･（爆
間違い、『軒先借りて母屋まで』･･･（ぷぷ
by 旅の老人 (2012-05-22 10:21) 

名無しの龍ちゃん

OFWが帰ってきた時に目の当たりにする現状の話を聞くと、本当に情けない

気持になります。

折角消費で国を支えても、家族を支えきれないのではお話になりませんね。

仕送りが、家族を不幸にする現状・・・

OFWも、諸手を上げては喜べないようです。
by moimoi (2012-05-22 10:23) 

鴨野さん

＞その出稼ぎ労働者のお陰（？）で今も比国好きの私なのですが･･･

はははは、まあ彼女たちこそが、OFWの草分け的存在でしたね。

その送金資源は、差し詰め私達の懐から出たのでしょう。（笑）

その意味では、私達にも責任はありますな。

まあ、そういう経験も元にして、この記事を書いていく積もりです。

まるで、自分たちへの告解とも云えましょう。

少し、心が重いかも知れません。
by moimoi (2012-05-22 10:31) 

家族の英雄であるOFWは、近所からもうらやましがられる存在になり、帰国時には家族大勢が車をチャーターして遠方から迎えに来ますね

ちなみに、この迎えの費用もOFW持ち（爆）
盛大に帰国祝いをしてもらい、（もちろん支払いはOFW持ち）

家族のみならず、ご近所にまでおみやげあげたり、と
全てでは無いですけど、特に日本から戻ったOFWタレントはすごかったですね。

時には男（鴨）まで捕まえてきたりします。
歓迎された男もうれしくなり、散財したりします。

このときに最大の武器と言われるフィリピン人のホスピタリティが発揮されるのでしょう。
家族全員から、やさしくされて、いい気分になり、気が付いたら、何もかも面倒を見る羽目になる方も少なくありません。

普段ぼーっと座って過ごすしかない普通のフィリピン人にとっては人生最大の出来事ですよ、きっと。

買い物に行って、巨大なカート一杯に買い込みます。
日本人はそんな経験はまずないでしょうね。
最初に見たときは、オイルショックでもあったのかと思いました。
レジで順番を後ろで待ってる人には悪いな、とか全然思いませんね

逆に「私はものすごく時間がかかるから、他の列に行きなさいホホホホ」
夢にまで見た優越感です。

その結果、金銭感覚が麻痺し、マクドで食事したら日当が消えてしまうような最低賃金での仕事に意味を感じなくなり、OFWに依存して暮らす楽な道を選ぶのでしょう。

ま、家族の中に有名芸能人がいれば、普通にバイトとかできなくなるかもしれません。

たとえば、イチローやキムタクの兄弟はバイトとかできないでしょう。
その芸能人が、あいつは家族に冷たいと批判されかねないからです。

難しいです、確かに。





by たばちん (2012-05-22 10:34) 

束珍さん

帰国時には英雄でも、金がなくなれば只のゴミだと気付くのに、大して時間が

掛かりません。

まあ、これは明日の記事で取り上げましょう。

＞時には男（鴨）まで捕まえてきたりします。

ははは、私も最初の嫁に捕獲されました。（笑）

＞歓迎された男もうれしくなり、散財したりします。

もう、耳が痛いですわ。（涙）

＞気が付いたら、何もかも面倒を見る羽目になる方も少なくありません。

う、う、う・・・（血涙）

＞OFWに依存して暮らす楽な道を選ぶのでしょう。

責任を感じます・・・

＞難しいです、確かに。

本当に、その通りです。

対処の方法があれば、一緒に考えたいですね！
by moimoi (2012-05-22 10:47) 

いや～初めて聞きましたが本当ですか？
スゴイ話ですね～（爆

私も送金を受ける側になりたいですが
どうやったらなれるんでしょうか？

フィリピンに移住して子供の教育に力を入れて
その子供が成長した暁に海外労働者としてドバイやカナダなどに
送り込めばいいんでしょうか？

う～ん、あと２０年くらい掛かりそうなので
それまでをどうしたらいいんでしょうか？
でも移住したら間違いなく困窮邦人の仲間入りなので
諦めて日本でチマチマ仕事します（涙

by 萬久 (2012-05-22 12:53) 

於萬の方さま

＞私も送金を受ける側になりたいですが・・・

私は、萬久さんからの仕送りさえあれば大丈夫ですよ。（笑）

＞子供が成長した暁に海外労働者としてドバイやカナダなどに送り込めば・・・

あっ、この案頂き！

帰ったら、早々子供を仕込まないとね・・・（爆）
by moimoi (2012-05-22 13:05) 

ふむふむ…なるほど～
勉強になりますわ。
OFWにでたもの同士、現地で恋に落ち、新しい家庭を築いてしまい、元の家族へ送金できなく(しなく)なることもよくあると、聞きますが…
by 提督 (2012-05-22 14:51) 

提督はん

＞OFWにでたもの同士、現地で恋に落ち、新しい家庭を築いてしまい・・

こういうケースも、身近にいますなあ・・・（溜息）

情熱の国フィリピンですから、燃え上がってしまうのでしょう。

前の嫁の妹は、海外に出る度に違う男の子供を妊娠してましたわ！（爆）
by moimoi (2012-05-22 15:24) 

まったく、御指摘のとうりです。

昔、飛行機の中で知り合った博多弁ペラペラのピーナタレントがおもしろかったので
ピノイ君を連れてヌエバエシハのド田舎まで遊びに行った事がありましたが、
着いてみると、お父さんと大げんかをしてまして、理由を訊いてみると何でも帰ってきてみると彼方此方借金だらけだったそうです。ありそうなこっちゃ！　笑い！
で、周りには仕事は無いのに奥さんとガキが居る弟がいたり
兄にトライシクルを２度買ってやっても売り払ったり、笑い話のてんこ盛りでしたよ。

うちのセブの兄弟も似たようなもので、何回海外に出稼ぎに行っても、金を貸してくれと電話してくるバカたれが居ますよ。
やっぱり、暑さで脳ミソが煮えているので、倭乱魔蛾河ですかね？？
by Ryuchan (2012-05-22 19:18) 

Ryuchanさん

結局、お金を与えるということは、人助けにもなりますが、人を殺しかねません。

似たような話は、嫌になるほど耳に入ってきますね。

我々は脳味噌が煮えるのですが、ここで暮らしている人は割りとあっさりして

いるようです。

なるほど、全てが予想範囲なのですな。（苦笑）

私のマゾ度が、まだまだ不足がちだと言うことです！（爆）

by moimoi (2012-05-22 20:00) 

どもども、お世話になりやした。＾＾

今回の旅は少しは比国のためになったでしょうかな。(#^.^#)
by shiNji (2012-05-22 20:11) 

金が入るアテがある限り働く筈がないPinoy家族

OFWは 物価の高い国で汲々として働いて仕送りして帰れば労働意欲を失わった家族ばかりが・・・・(爆)

仕送りで家を建てたはず??、車を買ったはず??

それが有ればまだ良い方、時にはOFWを担保に借金まみれ・・・・(爆)
何度も何度も、そう言うパータンを見た!!!

ハテはOFWが仕送りし金で買った財産の争奪戦・・・・・・(爆)
家族兄弟で骨肉の争い

施しは人の為にならず、仕事を与えるのが一番ですが!!
この国では難しいですな!!

とっ言う事で、浮世を忘れるためにサバンへ師匠と入れ替わりに行ってきます。・・・・(笑)
by 洗濯屋 (2012-05-22 20:40) 

洗濯屋さんが書かれている
”家族兄弟で骨肉の争い”の前兆が、セブの家で起こっていますよ。
悪徳公務員の長女が、かみさんが買った土地を勝手に売り払おうとしているし
お父さんが建てた４０年前の古い家も売り払おうとしていますよ。

うちの義弟は店舗兼住居を建ててやって、仕事を与えてやっても、低脳だからマネージメントできなくて
結局はフィリピンよりクソ熱いサウジアラビアに２度目の出稼ぎ中ですよ。　苦笑！！


by Ryuchan (2012-05-22 21:50) 

神事屋さん

＞少しは比国のためになったでしょうかな。

充分過ぎたでしょう。（笑）

次回は、倍の施しをしましょうね！（爆）
by moimoi (2012-05-23 08:36) 

洗濯屋さん

＞仕送りで家を建てたはず??、車を買ったはず??

やはり、帰国後に自分名義で買うしか無いですね。

先ずは、家族を信じないことから始めねばなりません。（苦笑）

＞家族兄弟で骨肉の争い

折角、家族のために外国で働けることが、家族を崩壊させてしまう・・・

道理が通りません。

＞浮世を忘れるためにサバンへ師匠と入れ替わりに行ってきます。

気をつけて、行ってらっさいまし。

・・・て、公開していいの？（爆）
by moimoi (2012-05-23 08:41) 

Ryuchanさん

＞かみさんが買った土地を勝手に売り払おうとしているし

これって良くありますよねえ・・・

名義も知らない内に変えられたりして・・・

一体、どういうマジックを使うのでしょうね？
by moimoi (2012-05-23 08:50)