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フィリピン移住を考える・・・その⑥ 『医療 番外編』  [移住]

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もう随分と前のことですが、カビテのある病院に行きました。

子供にデング熱の疑いがあり、最初に診てもらったクリニックの先生に紹介されて行ったのです。

(ほ~、割りとでかい病院やなあ・・・)

私は感心しながら、嫁ともども子供を中に連れて入りました。

受付で紹介状を渡すと、直ぐに中年のおばさんがやって来て診察を始めてくれました。


見ると、白衣を着ていません。

(何やねん、このおばはん?)

私は、そう思いましたが、口にはしません。

診察の途中で、おばはんはふと気付いたのか白衣を羽織りました。

しかし、どこからどう見ても、そこいらに転がってるおばはんにしか見えません。


私の疑念は、深まるばかりです。

しかし、付き添っている看護婦さんは、おばはんのことをドクターと呼んでいました。

まあ、看護婦さんがそう呼ぶのですから、当たらずといえども遠からずなのでしょう。

そのドクターが、診察が終わりおもむろにこう言いました。

『こりゃあ、あきまへんわ、ほんまにデング熱ですな、すぐに入院せなゃなりまへんでえ・・・』


まあ、子供は高熱ですし、食欲も全然無かったので、その疑いは本当にありました。

曲がりなりにも、おばはんはドクターなんやし、疑念が確信に変わったので入院を決めました。

『ほなドクター、宜しゅうお願いしますわ。』

私は、そうお願いしました。

『ああ任しとき、ほいでなあ入院する部屋やけど、松、竹、梅の3つがあんねん、どれがええのん?』


『ええ?、松、竹、梅とは一体どんな区分けなんでっか?』

『松はエアコン完備の一等部屋や、テレビや冷蔵庫もあるでえ、でやなあ、竹はあれやエアコンはあら

へん、まあ、扇風機はついたはる、梅はあかんがな、あれは貧乏人が入る大部屋や・・・』

おばはんは、そうまくし立てました。

料金を聞くと、松はバカ高です。


竹は中間程度、梅はさすがに安いのですが、見栄もあって竹にしようかと思った矢先、おばはんがこう

言いました。

『松にしときなはれ、あんたらフィルヘルス入っとるやろ、あれやったら6割くらい安うなるがな、悪いこと

言わんさかい松にしときなはれや!』

最後は、押し切られるような形で松に決めさせられました。


とにかく今は、弱ってぐったりしている子供を、休ませなければなりません。

早々、係の人に部屋まで案内してもらいました。

ところが、部屋に入って吃驚です。

どこからどう見ても、松と称されるほどの部屋ではありません。

確かに、エアコンとテレビと冷蔵庫はありました。


しかし、壁は汚いしベッドは軋むし、外の騒音まで入って来るので、禄な部屋ではありませんでした。

もう、これ以上良い部屋がないというのですから、仕方がありません。

まあ、竹にしなくて良かったなと思うことで、自分を納得させました。

(これも、子供のためや・・・)

私は、そう思うしかありません。


入院して点滴を打ってもらった子供ですが、その夜から快方に向かいました。

次の日の朝には平熱になり、食欲も出てきました。

これがデング熱なら、あと数日は熱が続き食欲もないはずです。

巡回往診にきたインターンらしき若い医者にそのことを言うと、私には判断はできないからドクターに

聞いてくれと言われました。


最もだと思い、私はおばはんを探しに行くことにしました。

受付で聞くと、おばはんは今日は休みだと言います。

では、違う医者でいいから診てもらえないかと言うと、意外な答えが返ってきました。

担当医はおばはんなので、おばはん以外の先生は立ち入ることができない。

私は驚きましたが、そこまで急いで診てもらいたいわけではないので、無理強いはしませんでした。


(明日、子供の様子が良かったら、おばはんに言って退院させて貰おう・・・)

私は、そう考えていました。

が、翌日のことです。

出勤してきたおばはんに、子供がすっかり快復したみたいだから退院させてくれとお願いしました。

すると、おばはんは怒ったようにこう言います。


『あきまへん!、お子さんはデングでっせー、今動かしたら絶対悪うなってまうわ。』

『しかしおばはん、いやドクター、そうは言うても子供は元気になって、病室で遊んでまっせ-』

『いいえあきまへん、点滴のお陰で一時ようなっただけや、まだあと3日は入院せにゃなりまへん。』

おばはんは、頑として譲りません。

私は、あったまに来ました。


どう考えても、子供はもうすっかり元気です。

熱も一切ありませんし、食欲は旺盛です。

が、仕方が無いので、その日は引き下がりました。

翌日早朝、おばはんがまだ居ないうちから、強制退院を試みました。

一方的に事務所に乗り込み、退院を宣言したのです。


病院側は、おばはんの許可が無いことを盾に許可を渋りましたが、そんなことで引き下がる私ではあり

ません。

『今日までの分は支払うが、これ以降の請求は死んでも払わんぞ。』

そう言うと、やっと向こうが折れました。

何とまあ、日本の病院とはえらい違いですわ。


で、部屋の物をまとめ、支払いをしようと会計に向かった時のことです。

看護婦さんの溜まり場で、ひそひそと噂話が聞こえました。

『あ~あ、あの先生、折角の患者さん失くしちゃったわねえ~』

『ああ、あの日本人の子供ね!?』

『先生も可哀想に、これでまた新しいお金になる患者を見つけないとね・・・』


(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)

私は、それを聞いて絶句でした。

やはりそうだったのか、という思いです。

金になる患者からは、とことん絞りとる・・・

これが、フィリピン流仁術なのですな・・・(瀧涙)


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旅の老人

私のピノイ友人の家族も何度か病院のお世話になりました。

確かに昔彼が貧しい頃彼の長女が目の病気で入院していたとき快癒したにも関らず退院できずにいて、帰国早々4万円送ったことがありました。
10数年前でしたがその家族も今では比較的裕福になり、息子の盲腸や奥さんの子宮筋腫の手術の入院も比較的低額で出来たみたいです。
その何とかと言う保険にも入っているようですし、親戚筋に病院関係者がいれば全てに優遇されると聞きました。
私も何かあればその総合病院のお世話になろうと考えています(笑
比国ではイリーガルでなくてもコネが必要だと感じています・・・(苦笑
by 旅の老人 (2012-03-27 07:53) 

moimoi

旅のご老人さん

私の娘のニナンが、バクラーランの病院の院長です。

彼女曰く、いつでもおいでね・・・

従って、病院代はほぼ無料になることでしょう。

しかしまだ、診察さえ受けていませんが・・・(笑)

ここ最近は、歯医者以外の病院には行ってませんね。

病気になったらお世話になるかもですが、なるべくなら避けたい思いです。

だって、ハートアタックでまだ死にたくないですから・・・(爆)
by moimoi (2012-03-27 08:18) 

shiNji

医は仁術!!赤ひげはおらんのけぇ~

と、言いたくなりますな。
by shiNji (2012-03-27 08:45) 

moimoi

神事屋さん

こちらでは、医は算術と申します。(笑)

赤ひげはおりませんが、代わりに赤禿げならここにおりまする。(激涙)
by moimoi (2012-03-27 09:06) 

Leo

如何にもフィリピンらしい話に聞こえます・・・

日本の病院も経営が苦しい所が多いようで何かとニュースになっている
その性か?このてのドラマも時々見ることがあります。

その中で、医者は「患者さん達を考えて・・・」などのセリフになるが
事務方,経営者は「お客さん第一に・・・」のセリフになっている・・・


医者も人間、飯を食わなくてはならないから、良いお客さんが欲しいのでしょう!
「ドリンク一杯」ではなく「点滴一本!」
by Leo (2012-03-27 09:13) 

リベロ

初めまして!

>金になる患者(他人)からは、とことん絞りとる・・・
空港職員も警察も医者も悪人も皆やることは同じなんですね・・(@_@;)

甘い言葉ほど裏があるのが比なんですね!


by リベロ (2012-03-27 09:18) 

Ryuchan

はじめまして、 爆笑しました!

私のかみさんの従兄弟がマニラで外科医をしてますが、
自分のクリニックと大きな病院を3つ位掛け持ちしているので
2台の4駆の車でいつも忙しく動き回っていましたね。

その従兄弟に歯医者を紹介して貰って治療して貰ったことがありましたが
何か狭い部屋で機材は日本の40年前みたいな物でしたよ。笑い!

タダの政府系の病院があるとか言ってましたが、ロクな病院じゃあないでしょうね?
by Ryuchan (2012-03-27 09:26) 

moimoi

ジャングル大帝さん

>「ドリンク一杯」ではなく「点滴一本!」

良い標語です。(笑)

兎に角、何にでもチャージが掛かりますので、油断ができません。

嫁が以前入院した時に、安い部屋を希望したら私の収入を聞き、そこは駄目

だと言われてしまいました。

当然ですが、ここでは貧富の差で行く病院も入る病室も決まるのですね。

患者主義ではなく、お客主義ですか・・・

医道も商道ですなあ・・・
by moimoi (2012-03-27 09:30) 

moimoi

リベロさん

初めまして!

電気代もそうですが、盗電されている分を共同分担する仕組みが比国流です。

恐らく、これもその一端でしょうか?(笑)

医者にお金を払えない患者の為に、払える人が余分に払う・・・

これなら、多少は納得できますね。

しかし、このおばはんの手法は、どうもそのようには思えませんでした。

何せ、顔からしてお金に見えましたから・・・(爆)
by moimoi (2012-03-27 09:36) 

萬久

>悪いこと言わんさかい松にしときなはれや!

部屋の選択により医者の懐に入るコミッションも
増えるんでしょうね

裏では収入の高そうな患者の取り合いやってたりして(笑


by 萬久 (2012-03-27 09:39) 

moimoi

Ryuchanさん

初めまして!

>ロクな病院じゃあないでしょうね?

はい、輪をかけて碌なものではないです。(苦笑)

お金に汚いのではなく、兎に角誤診が多過ぎます。

中には良いお医者さんも居るのでしょうが、私のこちらの友人達からは、

お金があるのなら死んでも行くなと言われています。

私も、日本人の友人を連れていったことがありますが、聞きしに勝る酷い

診察でした。

余程のことがない限りは、行きたくはありませんね。
by moimoi (2012-03-27 09:43) 

moimoi

於萬さま

>裏では収入の高そうな患者の取り合いやってたりして

これは、充分に有り得る話ですね。

いわゆる、テリトリーです。

ビールハウスに行っても、ウエイトレスは順番待ちで客の接待をします。

チップを沢山くれる客ほど、上客でしょう。

その上客がやってきた時に、たまたまトイレや買い物に行ってしまってい

て順番を抜かされようなものなら、相当な悔しい思いをすることでしょうね。

外国人客というのは、ある程度当たりくじでしょう。

K国人以外なら・・・(爆)
by moimoi (2012-03-27 09:51) 

カカロット

ん~その事を知ってしまうと、病院には行きたくないですね。
なんにせよ、病院は御勘弁の方向でいきたいですね。日本ならまだしも、フィリピンでは無理ですね。そんな医者にも会いたくないです。
by カカロット (2012-03-27 12:54) 

捨て駒

わらわせてもらいましたw

死にそうになっても絶対行かないと今決めましたw

フィルヘルスのカード今持ってますけどねw
by 捨て駒 (2012-03-27 15:13) 

moimoi

カカ様

>そんな医者にも会いたくないです。

移住してくれば、嫌でも会えます。(笑)

しかし、本当にこの国では病気になるものではありません。

日本の医療システムの有難味が、一度にに分かりますね。

外国人でも安心できる病院を、作るしかないようです。
by moimoi (2012-03-27 21:00) 

moimoi

とろちゃん

>フィルヘルスのカード今持ってますけどねw

これで、あなたも松コースの仲間入りです。(笑)

せいぜい抵抗しましょうね。

うちの嫁も、ネズミやゴキブリは平気で捕まえますが、権力には全然弱いです。

このおばはんに勝つには、相当な修行は覚悟しなはれや!(爆)
by moimoi (2012-03-27 21:10) 

花粉症犬

金になる患者からは、とことん絞りとる

中学英語のso・・・that~構文を思い出しました!・・・(プッ


by 花粉症犬 (2012-03-28 03:28) 

moimoi

花和尚さん

こういう原因は、他から取れないという事情があります。

しかし、だからと言ってこの仕打ちは容認できませんね。

波風立てずに生きていくのが、難しい国ではあります・・・

by moimoi (2012-03-28 05:05) 

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