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マニラKTV悲話 その㊿ 最終話! [小説]

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それから、数時間後の夜、優二は、ジュリアを連れて太虎に居た。
『これから、どうするつもりなんだい?』
店主の、大橋がそう言う。
『僕と一緒に、暗黒喫茶のパトロール隊を結成しましょう。』
横から、アンダルが口を挟む。

『お前は、黙ってろよ!』
大橋が、アンダルを一喝した。
『へへへ、冗談ですよ・・・』
照れ笑いをする、アンダル太子・・・
大橋は、それを無視して話を続ける。

『しかし、思い切ったことをやったな、会社を辞めるなんて・・・』
『はい、もうあそこまで皆の目の前でやっちゃったので、もう取り返しは付きません。』
『支社長さんは、認めてくれたの?』
『ええ、最初は渋っていましたが、最後にはとうとう・・・』
『そうか、それならもう本当に仕方が無いな・・・』

『で、僕は一度日本に帰ります、会社を辞めるにも、一度本社に帰って手続きをしないといけな
いのです、で、その間なのですが、このジュリアの事を、宜しくお願いしたいのです・・・』
『それなら、お安いご用だ、腹が減ったら、いつでもここに飯を食いに越させればいいさ。』
『有難う御座います、彼女は当分、あ姉さんの所で暮らす予定ですから・・・』
『やっぱり、今のコンドは引き払うの?』

『そうですね、会社が契約しているコンドですから、どうしても、一旦出なければなりません。
『そうかあ・・・、それでここに戻って来たら、仕事はどうするの?』
『それについては、支社長から提案が有りました。』
『ん・・・・・?』
『一緒に出資するから、何か商売をやろうと声を掛けられています。』

『ここで商売?、それだけは止めた方がいいぜ、素人が簡単にビジネスが出来るくらい、この国
は甘くはないからな。』
『はい、そのことは、マスターを見ていたら良く感じます、ですから、最初は勉強のつもりで、何か
小さい商売から始めようと思います、何事も初めが無いと、終わりがないですから・・・』
『ははは、中々いいことを言うな、まあ分かったよ、おいらに出来る事なら何でも相談して呉れ。』

『重ね重ね、有難う御座います、先ずは、日本に帰ってから、一から出直す覚悟です。』
優二は、決意を秘めた顔をしながら、そう言った。
『でもさあ、本当に今の彼女で良いのか?、彼女のせいで、会社を辞める羽目になったんだろう?
、それでも、まだ彼女とやっていける自信があるの?』
大橋は、半信半疑の表情である。

『そうですね、まあ、知り合わねば幸せだったのか、知り合ったがゆえに、これから不幸を背負う
のかは分かりませんが、僕はこの娘と、一生やって行くつもりです。』
『ははは、本当に優二君は固いねえ・・・、そう頑なになってやっていたら、この国では身体が持た
ないぞ、もう少し、柔軟に考えた方がいいな・・・』
大橋は、純情一途の優二に自分を省みて多少照れたのか、苦笑いを浮かべながらそう言った。

数日後のことである。
優二は、マニラ国際空港に居た。
とうとう彼は、日本に一時帰国してしまうのだ。
見送るジュリアは、もう涙で顔がくしゃくしゃである。
自分のせいで、優二の職を失わせて仕舞った事に、彼女は彼女なりに反省をしていた。

しかし、もうそうれも遅い・・・
優二は、ハンカチで、そっと彼女の涙を拭ってやった。
その後ろでは、洗濯屋さんが、女物のパンティを片手に持って振っている。
彼は、彼なりに、優二を見送っているのであろう。
空港には、暇人の彼だけが見送りに来ていた。

(これから、この二人は、本当の幸せを掴むことが出来るのかな・・・?)
洗濯屋さんは、二人の姿を見ながらそう思わざるを得ない。
しかし、それは、神のみが知ることなのだ。
何れにしても、日比のカップルには、試練が付き物である。
悲劇か喜劇かなどは、死ぬ間際にでもならなければ、解かろう筈が無かった・・・


第一部了!(爆)
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コメント 22

Leo

強引に纏めましたなぁ~~~「第一部」を・・・
第二部が有るのかどうかは解りませんが、もし第二部を始められるのであれば
面白おかしいストーリーでは無く、師匠ならではの視点で見えるフィリピンを書き綴って頂きたい・・・

それにしても、無理な設定と話の流れだったわぁ~(爆
by Leo (2014-12-18 15:00) 

moimoi

雷音辛口エロ師匠!

小説だから、無理もへったくれも良いのですわぁ!(笑)

第②部?

あるのかなあ・・・

あるとしたら、来週から始まる新連載、『雷音さんがゆく』だわなぁ~!(爆)
by moimoi (2014-12-18 15:11) 

タバチン

いやあお疲れ様でした。
第2部では、優二はジュリアと小さなラーメン屋を始めるのでしょうか?
楽しませていただきました。

洗濯屋さんが見送りに来て女物パンティを振ってるのは僕的には受けました
by タバチン (2014-12-18 15:56) 

moimoi

お束はん

夜中から先程まで停電が続き、原稿を書けませんでした。

汗は、沢山かきましたけどね・・・(笑)

第2分は、ラーメン屋さんかあ・・・

では、コンサルタントには、貴兄を登場させて・・・(爆)
by moimoi (2014-12-18 16:04) 

菩薩

第一部 50話 お疲れ様でした^^

完結するとは予想していませんでした(笑
by 菩薩 (2014-12-18 16:49) 

ハラヘリハラのダル

むう〜ちょっと不満(爆)
でも、師匠長かったですね、お疲れ様でした。ちょっと強引な感じもしたけど、、、、、第二部、、、、いつ
by ハラヘリハラのダル (2014-12-18 16:57) 

山奥屋

あの~、岩崎とローズは? あぁ、それが2部ね。(納得)
by 山奥屋 (2014-12-18 17:10) 

shiNji

完結したぁ~~~
by shiNji (2014-12-18 17:14) 

moimoi

菩薩さん

私も、思いませんでした!(爆)
by moimoi (2014-12-18 17:14) 

moimoi

太子!

再登場、約束は果たしましたぞ!(爆)
by moimoi (2014-12-18 17:15) 

moimoi

山奥屋さん

第2部は、2017年位から始めます!(爆)
by moimoi (2014-12-18 17:26) 

moimoi

神示はん

そう、奇跡でも有りますまいに・・・(爆)
by moimoi (2014-12-18 17:29) 

おなかがいたいいか

終わっちゃいましたね140;1034

朝の渋滞中の楽しみが無くなりました(笑)
by おなかがいたいいか (2014-12-18 20:27) 

moimoi

烏賊男どん

明日からは、通常バージョンだよーん!(笑)
by moimoi (2014-12-18 21:06) 

洗濯屋

私にはパンツを振らせて締めですか!!

第二話は、優二がフィリピンに帰って来てジュリアと別れて、更に悪い邦人とピーノに財産取られて自殺しようとしたら、フィリピン人に助けられて・・・・(朴)・・・・(パク)

なんて筋書きで・・!!・・・(^-^;
by 洗濯屋 (2014-12-19 00:13) 

moimoi

洗濯屋さん

最後の締めに、相応しいご登場でしたね?(笑)

果たして第2部はあるのか、その前に、『洗濯屋さんがゆく』を書かないと・・・(爆)
by moimoi (2014-12-19 05:33) 

マーシー

お疲れ様でした…
最後まで楽しく読ませて頂きました。

第2部、今から楽しみです?
by マーシー (2014-12-19 08:25) 

moimoi

マーシーさん

有難う御座います。

水戸黄門のように、第43部まで続けます!(嘘爆)
by moimoi (2014-12-19 08:35) 

パパ   

第二部、楽しみにしていますw
by パパ    (2014-12-19 10:43) 

moimoi

パパさん

3年位、お待ちを・・・!(爆)
by moimoi (2014-12-19 10:48) 

萬久

お疲れ様でした。
最後まで途切れずにいきましたねー
優二はまだ若いですからやり直しはいくらでも出来ますから
こういう幕切れもありですね。
これからのほうが波乱万丈な物語になる気がしますが・・・

結局悲話とは会社を辞めるという部分なのでしょうか?
それともジュリアとこれからも一緒に生きていくという部分なのでしょうか?
by 萬久 (2014-12-19 12:52) 

moimoi

御万殿

両方でしょう。(笑)

不幸ととるか、幸福ととるかは、本人次第です。

只、死ぬ間際になると、神様が決めて呉れるでしょうね。

人生至る処に青山ありですわん。

ピーナとの苦労は、買ってでもするべきです!(爆)
by moimoi (2014-12-19 13:06) 

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